出会いと秘密、聖地巡礼、野生のシャミ子、せいせき桜まつり。〈せいせき桜まつり 兼 まちカドまぞく聖地巡礼レポート〉

文責:ちれき

 それは、春休みがもうすぐ終わりを迎えようとする時であった。特に予定入れるわけでもなくのんびりとXを眺めていると、FFの人間が「せいせき桜まつりの下見に来た!」なんて話している。

 せいせき桜まつり__実は以前にも聖蹟桜ヶ丘にまちカドまぞくの聖地巡礼に赴いたことがあったのだが、それは冬の肌寒い時期。あの街が、明日には桜と人々の活気とで彩られるそうだ。そして、まちカドまぞくは「桜」と非常に縁が深い作品。
そのような祭りには行かねばならぬ、という義務感と、春休みの終わりにささやかな思い出を作ることへの期待を胸に、私は多摩市、聖蹟桜ヶ丘行きの電車に飛び乗ったのだった。

 京王線に乗り、新宿、明大前、千歳烏山、糸を縫うかのように地上と地下を繰り返しながら目的地に向かう。その間、家々の波はしばらく絶えることがなかったのだが、多摩川の向こう側、ちょうど聖蹟桜ヶ丘に辿り着くぐらいにようやく、多摩丘陵とそれを彩る緑を見ることができた。

 そして、聖蹟桜ヶ丘駅に到着。以前来た時に比べ、明らかに子供の数が多く見受けられる。

聖蹟桜ヶ丘駅に到着。京王線のほぼ全ての車両が止まるターミナル駅だ。>

<駅から出てすぐのところに総合案内所が。>

 駅の向こうには黄色い声が飛び交う。老若男女問わず大勢の参加者がいるようだ。しかし、日曜の浅草のように全く身動きが取れないわけではないので、ちょうどいいくらいの混雑といったところか。

<活気に満ちた駅前。>

 とりあえず、南口の「オーパ」から、いろは坂通りとやらを通って南側へ向かおうとする。だが、その前にやらねばならぬ事が。

 駅前ビル「オーパ」の2階に上ると、そこにも人だかりが。それだけでなく何かしらのイラストとパネルまで置いてある。何のアニメだろうかと思ったら、それはまちカドまぞくと同じくこの地を舞台とするアニメ「アイドルマスター シャイニーカラーズ(以下シャニアニ)」であった。なるほど、その聖地巡礼をする者が多いわけである。さて、これほどの好待遇を受ける「シャニアニ」に対して、「まちカドまぞく」は最早過去の作品となってしまっていて、何がしかのコラボイベントをやっているわけでもなかった。二期が放送されたのも何年前か、もう気をかけてくれる人物などいないのだろうか……。

<アニメ「シャニアニ」の場面が描かれたパネル。>

 ただ、せいせき桜まつりの中心地として、撮影をするのにはいいスポットである。上手い撮り方に苦労した末、一番マシなものがこれであった。

<「シャミ桃、せいせき桜まつりだよ……。」>

 撮影後は今度こそ南へ。やはりおびただしいほどの人の数であったが、一際人だかりがして通行の困難な場所があった。人だかりの向こう側を探してみると、そこには知らない者はいないあのキャラクターの着ぐるみがあった。

<ダブル着ぐるみ。>

 「キティちゃん」の人気は凄まじく、大勢の観衆を囲み優雅な笑みを浮かべ時折挨拶を返す。その姿は正に国民のヒロインそのものであった。その隣には、オレンジと青でできた従者も一緒にいる。

 人混みを抜けると、今度は道路にチョークでお絵かきする子供の姿が。その姿を、歩道に植えられた一面の桜が彩る。

<街を彩る桜並木。>

 心穏やかな感情と共に足を進めていると、観蔵院という寺の敷地内に着く。そこでは焼きそばなどのお祭りと言えばな軽食が売っていたのだが、当然ながら長蛇の列。分かりきっていたことなので並ぶことはない。

 大栗川を渡り、通りは右へ曲がると同時に、急坂となる。多摩丘陵の段丘を上るべく作られたこの道は、体力のない私にとって渡るのに少し骨が折れる。

 いろは坂桜公園に着くと、ここにもそれなりに人が集まっているのを発見。みなカメラを構えているようだ。どうやらここも、まちカドまぞくだけでなく「シャニアニ」の聖地となって観光客を賑わせているらしい。私はそんな彼らとは少し違う方角で、まちカドまぞくの一部分に重なるように撮影。1期6話終盤の背景シーンである。(著作権の都合上アニメの画像は出せないのだけれど……。)

<桜も巻き込んで撮影。なお、アニメでは中央に夕日が大きく映る。>

 この坂をさらに上ると、二丁目OPの背景にあたる風景が見えるのだが、以前向かった際に大変苦労したこと、また桜が見えなさそうなことから今回はスルーした。これは、以前向かったときに撮ったものである。

 さて、写真も撮り終わり、駅へと戻る途中、一際目を引く存在があった。見慣れた制服と赤色のあの髪……まさか、シャミ子!?

 正確にはシャミ子の着ぐるみを着た人物が、まさしく「二度見系」の格好をして通りを歩いている。別に一般人が着ぐるみを来て楽しむのが普通のイベントでもないので、目立つことはこの上ない。しかし、こうして全身でまぞく愛を表現した人に出会ったことで、心が暖かくなった。挨拶をしようと追いかけてみたが、追いかけている間に彼女は人混みの中へ消え、二度と会えることは無かったのだった。
 許可もなく可憐な女子高生を撮影し、掲載することは出来ない。タイトルにも書いてある話のくせに、申し訳ない……。

 そして、今度は駅前の交差点から右に右折し、九頭竜公園へと足を進める。ここもかなりの人混みで、殊に道が狭いためにもはや身動きが取れないほどであった。もちろんどの軽食も並んでいることだろうと思ったが、(確か)1つ150円ほどで売られているカレーパンを買うことができた。
味は甘口、誰でも好きになれるような優しい味わいで、これを特に並ぶことなく購入できたのはなかなか幸運であった。(申し訳ないことに、店名を忘れてしまいました……。)

<名を絶品カレーパンと呼ぶ。>

 これで一通り気になった所は見終えた気がする。私は活気と春季休暇とに別れを告げ、駅舎の中へ戻ることにした。

最後に

 このせいせき桜まつり、4/7(日)に開催されたのですが、本人の遅筆によりここまで投稿が遅れてしまったことを申し訳なく思っております。また、最後までこの拙文を読んで下さったことに感謝申し上げます。これからも早稲田大学きらら同好会をよろしくお願いいたします。